薔薇(Rose)
起源・歴史 -History
バラの古語は「ムハラ」「ウバラ」または「ウマラ」で、イバラと同じ意味であった。
薔薇(漢字名)はしょうびの当て字で、ツルバラが「垣根にまつわる」ことをあらわしている。古い時代には今日のような園芸化した大輪の薔薇がなくノバラだけでそれを花イバラと呼んでいた。
西洋ではたいていの国で、ラテン語のローサ(rosa)が変化した名前で呼んでいる。
ラテン語のroseはたぶんケルト語のrhod(赤)が語源だという説や、ラテン語の元はペルシャ語のヴァレダで、それが初期のギリシャ語でプロドンとなり、のちロドン(rhodon,バラ)になったという説がある。
後者の場合にペルシャ語が語源であることは、ヨーロッパに渡った古代のバラがペルシャまたはコーカサスの原産で、それが庭園に植えられたのは、ペルシャが最初だったことを物語っている。
バラの属名はラテン語をそのままとってRoseと呼ばれている。
またスペインとイタリアではラテン語のままrosaといい、仏、英、米ではroseと書いてローズ(仏・英)またはローゼ(独)と呼んでいる。
バラ水(100%天然)の特徴
古くから世界中の人々に愛されているバラの種類は数千種にも及び、色や形もさまざまです。しかし香料として一般に使われるのは数種類です。最良といわれるのがダマスクローズで、日当たりの良い乾燥地帯が生育に最も適しています。

当社のローズウォーターは、砂漠のオアシス都市カシャーン(イラン)で自然栽培されたダマスクローズを夜明け前に手摘みし、伝統的な抽出方法で作られた貴重な製品です。
古代ペルシャ時代に生まれたローズウォーターは当時の女性を虜にし、ギリシャ、エジプトを経て、世界中へと広まっていきました。
優雅で甘美なバラの香りは、時空を超えて安らぎと豊かな気分を与えてくれます。 
また、香りを楽しむだけでなく、心身ともにリラックスさせ、疲労やストレスを緩和させることで免疫機能の活性化が期待できます。
殺菌作用があることも知られています。
体内でビタミンAとCに変化し、肌、口、腸から吸収されます。歴史的に抗鬱効果があるとされています。
抽出法:水蒸気蒸留(ISO)法
バラの花弁を採取

天日乾燥

乾燥花弁と水を抽出装置に入れる

濾過

濃縮エキスを高温で殺菌

瓶詰め
エキスの主成分
名称 リナロール
英名 linalol
別名 d-リナロオール,コリアンドロール,芳樟油
化学式 C10H18O
香り スズラン,レモン,バラ臭
状態 l (無色)
沸点/℃ 198~200,114〜114.5(26mmHg)
比重 ※0.8733
性質 アルコール,エーテル,不揮発性油に可溶
用途 化粧品,花精油の調合
有機性 200
無機性 104
名称 ネロール
英名 nerol
化学式 C10H18O
香り バラ臭
状態 l (無色)
沸点/℃ 225~226
性質 有機溶媒に易溶/水に難溶
有機性 200
無機性 104
名称 ゲラニオール
英名 geraniol
化学式 C10H18O
香り バラ臭
状態 l(無色〜淡黄色)
沸点/℃ 229~230(757mmHg),114〜115(12mmHg)
比重 ※0.89
性質 エタノール,有機溶媒に易溶/水,グリセリンに不溶
用途 バラ系調合香料
有機性 200
無機性 104
名称 αーシトロネロールル
英名 α-citronellol
別名 ロジノール
化学式 C10H20O
香り バラ臭
状態 l (無色)
沸点/℃ ※114~115(12mmHg)
比重 0.8549(d20/4)
性質 有機溶媒に易溶/水に難溶
用途 化粧品,食品
有機性 200
無機性 102
Geraniol(ゲラニオール
構造式 

石原らは合成香料のモルモットにおけるMagnusson and Kligman のguniea pig maximization test (GMT) 9) 法でのデータを掲載しているが合成Geraniolはinduction 10%, challenge 10%濃度で rate score 0.5 となっている.
尚GMTのrateとは諸化学物質の感作能を感作成立の陽性率で表わしたものでその陽性率により,0 - 8%が (weak),9 - 28%が (mild),29-64%が (moderate),65-80% が (strong),81-100%が (extreme)と分類されるが,最近は紅斑(5段階),と浮腫(5段階)の程度の評価点 (meanscore) の方がより重視されている.
ちなみにscore が1.0以上のものは化粧品原料として通常不適当と評価されている.
さらに石原らは,Research Institute for Fragrance Materials (RIFM) が実施した,合成 Geraniolについて人の被験者に対しinduction 10%,challenge 10%濃度でのKligman 10) が開発しKligman and Epstein11)が改良したヒトの maximization testの結果,誰も感作されなかったというデータを掲載している 12).
また,パッチテスト研究班では天然及び,合成geraniol を20, 10, 5%の3濃度で383名の被検者に貼布しているが,陽性率は天然,合成ともに同程度であった1).
交叉反応
Geraniolは構造上の類似性から,レモン油中の主要構成成分であるCitral 6),Hydroxycitronellal,Aldehyde citral 5) と交叉反応があることが報告されている。
Geraniolは天然にはシトロネラ油,ロ−ザ油等植物精油中に広く存在する成分で,化粧品用としてはロ−ズ系調合香料の主成分として用いられると共にイライラン,スィ−トピ−,マグノリヤ等ほとんどあらゆる種類の調合香料に用いられる.さらに,家庭用品,工業用等の着香料としても広く使用されている.また,化粧品用エタノールの変性剤の一つとしても重要である.食品用としては,飲料,アイスクリ−ム,キャンデ−,ベ−カリ−,チュ−インガム,ゼラチンデザ−ト等に利用される 4).
上記のように化粧品等に汎用されているため,香粧品による接触皮膚炎 6-8)の他,レモン,グレ−プフル−ツ等の果皮にもわずかに含まれる為,柑橘類を扱うバ−テンダ−の職業性接触皮膚炎の症例も報告されてい る5)
臨床症状
色素沈着 6),アレルギ−性接触皮膚炎 5,7,8)が報告されている.
Reference(文献)

1)パッチテスト研究班: Geraniolのパッチテスト濃度検討および1983 年におけるBenzyl salicylate のパッチテスト陽性頻度.皮膚 26:812 (1984)

2)須貝哲郎:"Fleuri 981 SA"パッチテスト陽性者の解析.皮膚 25: 703 (1982)

3)Fisher,A.A.: Contact Dermatitis 3rd ed.Philadelphia:Lea & Feebiger: 877 (1986)

4)化粧品原料基準注解編集委員会編:化粧品原料基準第一版追補注解: 80;薬事日報社

5)Cardullo,C.A.,Ruszkowski,M.A.,DeLeo,A.V.:Allergic contact dermatitis resulting from sensitivity to citrus peel,geraniol,and citral:J Am Acad Dermatol;21 : 395 (1989)

6)Serrano,G.,Pujol,C.,Cuadra,J.,Gallo,J.,Aliaga,a: Riel's melanosis:Pigmented contact dermatitis caused by fragrances.J Am Acad Dermatol;21: 1057 (1989)

7)Vilaplana,J.,Romaguera,C.,Grimalt,F.:Contact der atitis from geraniol in Bulgarian rose oil; 24: 301 (1991)

8)Romaguera,C.,Grimalt,F.,Vilaplana,j.:Geraniol dermatitis:Contact Dermatitis; 143: 185 (1986)

9)Magnusson ,B.and Kligman,A,M.;The identification of contact allergens by animal assay.The guinea pig maximization test:J.Invest.Dermatol.; 52: 268 (1969)

10)Kligman, A.M.:The identification of contact aller gens by human assay.V.The maximization test.A procedure for screening and rating contact sensitizer: J. Invest. Dermatol.; 47: 393 (1966)

11)Kligman,A.M., and Epstein,W.:Updating the maximi zation test for identifying contact allergens:Contact Dermatitis.; 1: 231 (1966)

12)石原勝,伊藤正俊,西村誠,木下三和子,関東裕美,野上哲則,山田耕次:Closed Epicutaneous Test について: 皮膚 28:増2 : 230 (1986)